2021年9月6日月曜日

北アルプス最深部縦走(太郎平~雲ノ平~水晶岳~鷲羽岳~黒部五郎岳)day2:薬師沢⇒水晶小屋(2021年8月31日)

 2021.8.31

北アルプスの最深部である雲ノ平~水晶岳~鷲羽岳~黒部五郎岳を縦走した。

1)初日:折立~薬師沢小屋(水晶岳へのアプローチに長さを実感)
  http://chibira-tamy.blogspot.com/2021/09/day12021830.html
   <スライドショー>   https://youtu.be/JmC-9RQj-no

2)二日目:薬師沢小屋~雲平~水晶小屋(感動の北アルプスの峰々) 
   ⇒このブログ  
   <スライドショー>  https://youtu.be/h698opVTT0k

3)三日目:水晶小屋~鷲羽岳~黒部五郎小屋(自然の厳しさを知る暴風雨の尾根歩き)
  http://chibira-tamy.blogspot.com/2021/09/day202191.html
   <スライドショー>  https://youtu.be/Be-onGHFN5M

4)四日目:黒部五郎小屋~黒部五郎岳~太郎平小屋(ガスの黒部五郎そしてながい尾根歩き)

  http://chibira-tamy.blogspot.com/2021/09/day4202192.html
   <スライドショー>  
https://youtu.be/6yhGh3_nXog

5)五日目:野郎平小屋~折立(薬師岳をあきらめ、のんびり下山)

  http://chibira-tamy.blogspot.com/2021/09/day5202193.html
  <スライドショー> 
https://youtu.be/-yFMeQRZ1Y4



薬師沢小屋で目を覚ます。

二日目、相変わらず川の轟音がひびきわたっている。

何となく睡眠が足りていないような気がする。

今日は、薬師沢小屋から、雲ノ平を経由して水晶小屋に向かう地図上9㎞、累積登高1100m、7時間5分の行程である。

朝食は朝5時。朝食が終わると、釣り師以外の登山者は大きな荷物を背負って、そそくさと出かけてしまう。ヘルメットをかぶり、岩登り用の装備を準備している若者のグループがいる。聞いてみると少し上流にある赤木沢の沢上りに向かうとのこと。

6時、昨夜の若者からの情報もあり、体力にも一抹の不安を抱えながら薬師沢小屋出発。雨の予報は出ていないが曇り予報。

名物のつり橋を渡ると、垂直の鉄梯子を下りる。黒部の自然の厳しさをいきなり感じさせられる。とにかく川の両岸が垂直に近いのである。水は見たことがないような透明度を保っている。

幸いにも水量が多くないので、川岸を歩くことができる。水量が多いと梯子を使い高巻きをする必要がある。すぐに露天風呂で有名な高天原への分岐に到着。
今日はここを雲ノ平に向けて右に登ってゆくのである。

すぐに長い木の梯子が現れる。そのあとが問題の滑る岩のきわめて急峻な道が始まる。昨夜の若者達が言っていた意味が分かった。表面が滑らかな大きめの丸岩を踏みながら登ってゆくのであるが、問題は岩に苔が生えている。特に水分を持つと、これが滑るのである。斜めの部分に足をかけるとたちまちつるっと滑る。確かに下りは緊張をするかもしれない。登りはまだましだと言い聞かせながら、とてつもない急斜面をこつこつと上り始める。

急坂のメリットもある。短時間に高度をどんどん稼げることである。

我慢我慢で1時間半。勾配が次第に緩やかになってきた。突然、前方に木道が現れた。やった!と思うのもつかの間、木道は終わり、また似たような岩の道が始まる。それでも急斜面でない分、ましである。

再び木道出現。緩やかな道になり、歩きやすい! 多少雲が多いとはいえ、眺望が開けてきた。周りの木々の背丈が低く木道からは眺望がよく効く。

この辺は日本最後の秘境といわれるらしい。(多少大げさとは思うが)

それにしても気持ちが良い。昨夜の若者曰く天空の楽園! 緩やかに登るに従い自分でも知っている峰々が次々と姿を現してくる。槍ヶ岳、笠ヶ岳のピーク、黒部五郎岳もカール面が見えてきた。

木道は距離を稼げる。周りの風景を楽しみながら歩くことさらに1時間半、雲ノ平山荘に到着。雲ノ平山荘は周囲から少し高い場所に立つおしゃれな山小屋であり、天井が高く、窓ガラスも面積も広い。小屋のテラスに座って悠然とコーヒーを飲むこともできる。昨夜の若者も言っていたように、この山荘で2~3日ぼ~っと滞在してみたい気分にもなる。ただ、今従業員の人たちは、掃除をしたり、布団を干したり忙しい。

小屋前のベンチを借りて小休止。

この辺までくると、周囲の山々、峰々がだんだんと視界に入ってくるようになる。槍ヶ岳、笠ヶ岳はさらに大きく、その他にも名前がよくわからない峰々。振り返るとまじかに薬師岳が大きな翼を広げるようにそびえたっている。

幸いなことに天気がどんどん良くなってきた。”これぞ北アルプス!”という風景が次から次へと展開される。つかれもほとんど自覚しない。

雲ノ平の上端まで登ってきた。手が届きそうなところに水晶岳がそびえている。直線距離も2kmを切ってきた。しかし間には深い谷が邪魔をする。

水晶岳を目の前にしながら。ここから道は大きく右にそれてゆく。祖父(じじ)岳(2825m)のピークを越えてゆく必要がある。高度差が150mほど。

エネルギーを補給するために薬師沢小屋で作っていただいたお弁当とすることにした。ちまきが3個と羊羹が入っている。今まで食べた山小屋のお弁当の中でも最もよい部類に属する。粽は水分がおおく、食べやすくしかもおいしい。

祖父(じじ)岳のひらべったい頂上はケルンが何基かあるだけで標識は何もないかわいそうなピークである。それなりの高さがあり、周りの景色もよいのに。

道は下りになり、100mほど高度を下げると岩苔乗越に到着。四差路になっておりまっすぐ行くと水晶小屋、左に降りてゆくと高天原、右側が三俣山荘となり、はるか下を登山者が下ってゆくのが見える。ここを50mほど三俣山荘側に行くと水場あるので水を500ml補充。

ここからは水晶小屋に向けて最後の1時間のレグである。

景色はどんどん良くなる。天候も予定外によくなってきた。

水晶小屋につくころは、あまりの絶景に言葉もないほどである。

他の小屋に比べてコンパクトな水晶小屋に到着。すでに多くの登山客がたむろしている。

チェックイン(13400円/3食)後、携帯(Softbank)を見ると針が4Gで4本立っているではないか!急いでラインで連絡をしておく。

携帯で天気予報を確認する。なんと明日は天気が悪い。当初予定は、次の日に水晶岳山頂に向かう予定であったが、、急遽山頂を目指すことにした。結果的には正解であった。次の日は暴風雨。山頂に達するには岩壁に取り付きながら結構の距離を登る必要がありリスクが高い。

絶好の天気の中で、水晶岳山頂に立つことができた。こんなにきれいに見通しが得られる山頂に立つのは久しぶりな気がする。

周りの景色のすばらしさは後の写真の説明に譲る。

小屋に帰ってからも、少々高い缶ビール(700円)を買って、小屋の前のテラスでいつまでも周りの景色を眺めていた。

水晶小屋は稜線という厳しい立地条件下にあるコンパクトな山小屋である。稜線を吹き抜ける強い風を避けるため、稜線の東側に背を屈めるように建っている。このため2階の天井が低い。夜トイレに行くときは要注意。梁に頭をぶつけやすい。2階の一角を就寝場所として与えられた。左右の客との距離も近い。左右の客のいびきに悩まされながら眠りについた。(自分も他人に迷惑をかけているかもしれない・・)

水晶小屋の大きな利点は、携帯(Sofbank,Socomo)がフルで通じることである。山に登ってまでネットをしなくてもいいのではないかとの意見もあるが、安全性を考えるとそうでもない。お天気情報を詳細にゲットできるメリットは極めて大きい。今まで、山に行くと、Softbankなので、エリアが狭く圏外です・・・と肩身の狭い思いをすることが多かったが、今回の山行では、Softbankの方が他社よりサービスが上であった。Softbankはえらい!水晶小屋と黒部五郎小屋には衛星回線を利用したSoftbankのリピータがあり、平地と全く同じようなネット環境にあった。(水晶小屋では、最近Docomoも同様のサービスを始めた由である。)思い出すと浅間の外輪山に登った折にも、Softbankの強い電波があったのを思い出す。

薬師沢小屋の朝食。味噌汁、ごはんお代わり自由。

若者のグループが沢登りの準備に余念がない。

それにしても水の透明度が高い。

増水時用の高巻きはしご。

薬師沢小屋に別れを告げる。

滝が黒部川に注ぎ込む。とにかく両岸が切り立っている。

川岸を少し下ると高天原分岐がある。今日は右に折れて雲ノ平を目指す。

急登の始まり。若者の言葉通りに岩が苔むしている。



登ること1時間半あまりで、木道に到達。実に歩きやすい。ただしスリップには要注意。けがをした人がいるとのこと。

ラッキーなことに晴れ間が増えてきた。

道は勾配がなくなってきて、いよいよ最後の秘境の核心部に入ってきた。

ここはアラスカ庭園


木道の回廊が延々と続く

黒部五郎岳がさらに大きく見えてきた。



高度を上げるに従い遠くの峰々も見え始めてきた。
右の特徴的なとんがりは笠ヶ岳。

先行するのは京都からの登山客。水晶小屋に泊まり、読売新道経由で黒部湖まで降りるとのこと。



薬師岳が大きい!



これは立山と思われる。



雲ノ平を登り切った先に水晶岳が見える。まだずいぶんと遠い。





チングルマも花を終わらせている。


アルプス庭園なるものがあったが寄り道をせず。

高台に建つ雲ノ平山荘に到着。



山荘前ベンチで休憩

黒部五郎のカールが見えてきた。





キャンプ場分岐到着



キャンプ場は、下ったところにある。水場とトイレがある。


スイス庭園もパス。

いよいよ水晶岳がまじかに迫ってきた。



道は大きく右にそれて正面の祖父岳に向かう。左側は深い谷になっている。

珍しくお花が咲いていて癒される。

祖父岳分岐に到着。まっすぐ行くと三俣山荘に降りてゆく。



祖父岳分岐でお弁当タイム。お弁当は粽3個とようかん。どちらもおいしかった。



槍ヶ岳が迫ってくる。それにしてもこちら側の落ち込み方も半端ではない。

確かに鷲が羽を広げている鷲羽岳

これはワリモ岳。頂上は岩の塊になっている。







思いかけずキキョウの花の群れに出会う。

ワリモ岳と鷲羽岳。





岩苔乗越に到着。ここは四差路の交差点。三俣山荘側に少し下って水を補給。

ワリモ分岐に到着。右に上がってゆくと鷲羽岳に行く。

薬師岳も大きな羽を広げる

こんな小さな可憐な花もまだ咲いている。

それにしても北アルプスの谷は深い。





左奥に黒部湖が見える。

水晶小屋

野口五郎岳

赤牛岳方面(?)

小屋から水晶岳頂上には片道40分ほどかかる。砂利の後、岩のルートが始まる。




頂上からの絶景

頂上からの絶景


頂上からの絶景

頂上からの絶景

頂上からの絶景

水晶小屋の晩御飯。カレーをたっぷりいただく。

就寝場所。天井が低いが建材が新しくきれい。柱梁にはぶっとい材料が使われている。気を付けないと針に頭をぶつける。よくぞこんな場所に資材を運び建築したものだと感心する。



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