2024年10月18日金曜日

異次元の光景が広がる鳥海山、新山溶岩ドームの奇観に圧倒される。(20241015)

 2024.10.15

一昨日の家族帯同の月山登山から一転、いつものような単独登山。今回は月山の北側数十kmの地にある鳥海山にチャレンジ。

主峰である新山のこの世のものとは思えない溶岩ドームの奇観に圧倒された印象深い登山であった。

メジャーなルートは、象潟口からのルート。しかしながら、往復で14km、累積登高が1300mもある。これに比べて、地図上は楽と思える湯の台登山口からのルートを選択した。地図上は、10km、1000mとなっており、一番楽なルートのように思える。

しかしながら、実際には、湯の台口から登る登山客は少なく、象潟口の方がはるかに多いようである。

10月13日に月山に登り、移動と休養に一日を使い、10月15日に決行。昨日までの3連休は快晴、あいにく今日は曇り、明日は雨の予想。

前泊の宿は、登山口のふもとにある鳥海山荘。大きな建物の割に定員が少なく、温泉にもゆったり入ることができる。

宿の人の助言に従い出発を早め、朝5時、宿を出発。20分ほどで到着した駐車場は、まだ薄暗い。3台ほどの車があり、一人の登山客が準備中。

東の空が赤く染まっている。日の出時刻が近い。急速に明るくなってきた。先行登山客に続いて出発。(5時30分) 大きな鈴の音についていこうとするがだんだん鈴の音が小さくなってゆく。

森の向こうから発電機のエンジン音が聞こえ始めた。次第に大きくなってくる。ほどなく、滝の小屋に到着。屋根が赤く塗られたこじんまりとしたきれいな山小屋である。まだ営業中と見えて、管理人と思しき人が体操をしている。

休憩もせずに通過。道は、八丁坂に入り、急でもない幅の広い斜面に従って、ジグザグに上がってゆく。樹高は高くなく遠くがよく見える。雲も高く、50km先の月山のピークが見える。

やがて、緩斜面になり周りに背の低い笹原に出てきた。すると向こうに立派な建物が見えてきた。河原宿のトイレである。避難小屋があるが、崩壊している。柱なども折れているので、雪の重さで倒壊したものと見える。避難小屋の機能は期待できない。この時期トイレも閉鎖されている。

ひらべったい笹原の向こうに伏拝岳からなる外輪山が堂々と羽を広げている。700mほどの高度差である。しかも、遠い・・。しかし今から登ると思うとげっそりする。

ここからの道が、要注意だそうである。基本的に沢筋に沿って登ってゆき何回か沢を横断する。特に雪渓の時期には、道迷いが発生しやすいと地図に書かれている。

大きな岩がごろごろする涸れた沢を横断するが、目標がなかなかわかりにくかったりする。沢でなくても、気が付くと幾度となく本来のルートからずれていることがあった。そのたびに周りを見回して、時には引き返して、ペイントを探す。

最後の大きな沢を横断すると、道は一気に急こう配に入る。道迷いこそ心配なくなったが、岩がごろごろとあり歩きにくさはこの上ない。時々振り返る。河原宿のトイレまできれいに見渡せるがだれも後に続いているものはいない。

苦しい登りが長々と続く。すると左前方の稜線に人影が何人も見える。象潟コースを続々と登ってきている。なんだか懐かしい。

道が合流するとそこが伏拝岳。岳と呼ぶには戸惑いを覚えるほどの広場となっている。

ここで正面に、いきなり新山と鳥海山大物忌神社が目に入る。そこに至るには外輪山を大きく回り込む必要がある。

少し休憩してエネルギーも補給。

今までの苦労を思うと天国のような登山道がしばらく続くと新山分岐に到着。外輪山のピークである七高山は数分の距離にあり先に向かう。

登山客を捕まえて記念撮影をお願いする。

新山分岐に戻り神社に向かうことにする。いったん火口底に降りる必要があるがのぞき込むと後ずさりしたくなるようなとんでも道である。急峻な上に浮石がたくさん。下手をすると下の人に危害を与える。下には2名ほど下降中なので、石を落とさないように慎重に下る。

やっと下ったと思うと新山への登りはこれまたとんでもない急こう配。再びげっそりする。

とりあえず、神社に行くことにする。斜面を斜め左に登ってゆくと複数の建物のあるエリアに到着。強風が吹いているので小屋の風下のベンチでおひるごはん。宿で朝飯代わりに作ってくれたおにぎりをほうばる。なかなかのどを通らない。本日の気温は想定以上に高く、途中で半そでになるほどであった。このため水を想定上に消費してしまい、節水モードとなってしまっていた。水でおにぎりを胃袋に流し込む芸当ができない。

神社の小さめの本殿は閉鎖されており、一番奥にある石碑に参拝を行う。

神社のすぐ横から、新山への登頂ルートが始まる。その下に立って見上げてみると足がすくむ思いがする。ほぼ垂直である。

上から女性がバックで降りてきた。話を聞くと興奮気味にアスレチックみたいなルートだと説明してくれる。その意味はすぐに分かる。

ランダムな形状の巨大な岩が、ランダムに積み重なっている。幸いにも安山岩で摩擦係数が高く靴が滑ることもなく、浮石も全くない。

岩の上に点々とペイントが塗られており、それに従ってゆくと頂上にたどり着く次第であるが、ことは単純ではない。右に左に、果てまた下に降りて狭い岩の回廊をくぐってようやく頂上に達する。槍ヶ岳の穂先に登るよりも緊張感を伴う。たどりついたピークの周りの風景はこの世ものとは思われない異様な雰囲気を醸し出している。圧倒される。すべてランダム!!溶岩ドームの奇観のために危うく頭がおかしくなりそうであった。。

誰もいないので自撮りの写真を撮り、下山開始。下山も一筋縄ではない。狭い胎内くぐりさえしなければいけない。神社側とは異なり、さらに溶岩ドームの下の方は、浮石が多くて危険この上ない。慎重に降りて、火口底まで戻ったが新山分岐方向を見上げてまたまたげっそり。苦労して降りてきたザレ場の超急登が待っている。ここを登らない限り帰れない!

もうほとんどエネルギーもない。少しづつ少しづつ登る。

上り詰めた新山分岐からはほぼ放心状態で、とぼとぼと、もと来た道をたどり、3時間20分かけて駐車場に着いた時には、後から来た登山客の車が1台のみとなっていた。

湯の台コースは標高差、歩行距離の割には結構大変な登山となってしまったが苦しんだ分、達成感はひとしおである。

これで東北の未登ピークは、朝日岳、飯豊山(切合小屋でリタイヤ)を残すのみとなった。だんだんとむつかしい課題だけが残る。

湯の台登山口駐車場に到着。夜明け前

道路わきの登山口から入山

日が昇ってきた。

立派な橋が架かった沢を渡る。発電機の音が聞こえ始める。

滝の小屋に到着。まだ営業中の模様。

滝の小屋を過ぎると八丁坂。灌木の間の道をくねくねと上がってゆく。

天候が意外と良い。酒田市街が見えてきた。

道が水平になってきた。広大な笹原の向こうが鳥海外輪山。高低差は700m程度だが距離がある。

立派な建物が見えてきた。河原宿のトイレ。(閉鎖中)下の避難小屋は崩壊。

河原宿から眺める鳥海山

大きな岩がごろごろする涸れ沢を渡る。向こう岸の登山道がよくわからないことが多い。



ようやく標高2000m。800mほど上がってきた。夏のように暑く半そでになる。

道の勾配が次第に緩くなり、向こうの方に登山客の姿が・・・登り始めて初めてヒトに出会う。

象潟口からの合流ポイントに伏拝岳がある。ここで2100m程度。風が強く寒い。

初めて新山と神社が目に入る。新山標高は2236mですぐそこに見えるがそこに至るルートは大変。

外輪山の道を歩き新山分岐に到着。正面が七高山。すぐの距離にある。

この時期まだ頑張って咲いている花がある!

七高山頂上。頂上と言っても特段の感情がわかない。韓国岳を思い出す。
風が強い。

七高山から眺める新山。右のピークあたりが新山頂上か・・

外輪山と新山の間にはV字の谷がある。左の新山分岐から厳しく下がって厳しく登り返す必要がある。

この時期社は閉鎖されており、奥まったところの石碑に参拝。

神社裏から、新山にいよいよ登頂する。厳しい角度の登りが待っている。

途中、とんでもなく下って巨大な岩の回廊をすり抜ける。ペンキマークが唯一の頼り。

新山から神社側に下山する登山者に遭遇。

二人は岩の回廊に消えていった。小人のように見える。

この世のものと思われない様な風景が続く



大きな岩に上がると頂上の標識。

小さな祭壇で参拝

下山するのも容易ではない。




胎内くぐり



振り返る新山。こちらサイドは浮石が多く歩きにくい。

火口底まで降りてきた。七高山を見上げる。

新山分岐方面。見上げるとげっそりする急坂。この急坂を登らないと帰れない!

ようやく新山分岐



新山の崩壊した岩石で谷間が埋め尽くされているのがよくわかる。

伏拝岳。ここからはひたすら下るだけ。もはやプレッシャーは相当軽減されている。

ワタスゲが目をひく
ふと振り返ると鳥海が遠くなりつつある。



幅広葉っぱの草も紅葉している。






イチゴのように見えるが、まだ可憐な花びらをつけている。黄色が目を刺すよう。

今日は天候が異常。10月15日、東北地方、標高1500m、13時38分。
気温が17℃もある!


見事な赤の葉っぱ

やっと駐車場帰着。9時間余りかかりました。一台役場の軽バンが止まっているが役所のマークがあり、山小屋関係者のものと思われる。一番奥は観光客。風景の撮影に余念がない。






1 件のコメント: