2024年5月20日月曜日

残雪の苗場山、小赤沢コースを登る。登山客4名のみ(2024.05.19)

 2024.05.19

昨日は、木曽御嶽山に登り、野沢温泉で宿をとった。

本日は、苗場山に長野県栄村小赤沢の登山口から登る。宿は長野県、登山口も長野県。しかしながら、登山口に行くには、いったん新潟県に出なくてはいけないなんとも不思議な村である。すなわち、小赤沢地区は、栄村の他の地域からは直接行けないようである。そういえば朝、新潟に入る前に栄村は通過した記憶がある。

新潟県津南町から国道405号で入ってゆくのであるが、新潟県側は道が狭くて曲がりくねっている。しかしながら、長野県側に入ると途端に同じ国道が道幅が広くて走りやすくなる。これもふしぎである。しかも、普段使う人が少ないと思われる登山口までの道路もよく整備されており大変走りやすい。

そうはいっても、津南町の国道117号から30㎞近く距離があり、くねくねと曲がった山道を延々と走るのは結構骨が折れる。

それにしても、途中両側が切り立った狭隘な地の奥にそれなりの集落があり、今も廃村とならずに継続しているのは驚愕するものを感じる。福島県桧枝岐村もすごいが、地形的にこちらの方が格段にアクセスが困難である。

それはさておき、苗場山小赤沢3合目登山口駐車場に到着してみると、驚いたことに100台以上は止まれそうな広大な駐車場に先客は誰もいないのである!今日は日曜日の百名山であるのに・・・

数年前に、武尊山に5月に登った折、登山客は自分一人で、滑落事故を起した経験が頭によみがえった。自分には難易度が高すぎたのである。

https://chibira-tamy.blogspot.com/2019/05/blog-post.html

百名山で登山客が少ないのは、難易度が高い証拠である。

さすがにどうしようかと悩んでいると、もう一台の車が到着し2人組が下りてきた。彼らも同様に登山客の少なさに驚く。

危ないと判断すればおりてくるつもりでとりあえず標高1300mの登山口を出発することに。

12本歯のアイゼンと、ピッケルを持参してきたが、昨日の今日で体力が心配なので、置いてゆくことにした。防寒着も最小限。いつも登山には持ち歩く一眼レフのカメラも置いてゆく。10本歯アイゼンをザックに入れて、半そででスタート。(7:56)

しばらくは、普通の夏道が続くが、やがて、くぼみ、谷筋などで雪が出てくる。道はやがて、広い谷あいに出てきた。この辺まで来ると、雪が結構多くて、アイゼンをつける。

こういう広い場所は道を間違いやすい。さらに倒木が、道を見つけるのを邪魔する。案の定、先客の足跡も右に左にさまよっている。テープも手掛かりに進むが時に先客と同じように引返すことにもなる。やがて道は、急な山肌を右斜めに上がってゆくようになる。

踏みぬきにも要注意。ずぼっとはまると体力の消耗も激しい。

小さな雪渓をいくつもトラバースする。それなりに注意をすると危険度は少ない。

今日は、曇りでも気温が高く汗も噴き出る。

8合目まで上がると急に平坦になるがその手前で、急な雪渓を、一気に100m近く直登する必要がある。登り始めてすぐのころ追い越していった単独の登山者がもう降りてきた。もうすぐ急登が終わると励ましてくれる。

最後に急な雪渓斜面をトラバースするとやっと八合目に到着。そこには、穏やかな高層湿原が始まっており、木道が待っていた。今までの苦労を想うと別世界である。

ここまで来たら後は、木道をてくてく歩くだけと思っていたが話はそんなに甘くない。

再び、雪が現れ、森を抜ける必要がある。森では雪が深いのである。このため森の中の道探しは困難を極める。幸いにも先行者の足跡についてゆくとやっと森を抜けた。

苗場神社の分岐に到着。先に頂上に行くことにした。頂上まで100m程度登ればよいが、距離が1㎞程度と結構ある。さして急でもないだだっ広い雪原のスロープをてくてくと登ってゆくのであるが、これが結構な疲労感を伴う。時々現れている木道の上にくるとほっとする。

立派な山小屋の脇を通過し、ようやくピーク付近と思われるのっぺらぼうな場所に来た。頂上標柱はと探してみるがなかなか見つからない。ふと後ろを見ると、白っぽい柱が、、ポツンと雪に顔を出している。それが頂上標柱であった。周りは樹木が多く眺望はないが、これを見つけるとついにここまで来たいう達成感はこの上ない。出発して3:45かかってしまった。

近くの露出したベンチ(おそらくテーブル)に座って、昼食。最近軽さを重要視してパンを持ってきているが、まったくのどを通らない。あきらめてジェルと羊羹を胃袋に押し込む。

しばし休憩ののち下山開始。

神社の分岐まで降りてきた。神社にお参りしようと向かう。困ったことに足跡が全くないので、森の中を右往左往。なかなか見つからない。あきらめて、帰ろうとふと横を見るとそこには高さ1mほどの小さなお社が鎮座していた。探していたイメージよりはるかに小さい。お賽銭をあげて、お参り。

8合目まで戻ってきた。ここからいきなり急こう配の雪渓の下りが始まる。足をすべらすとどこまで落ちるかわからない。幸いにも雪質が緩くなく、ストックを使って3点支持を実践し、足場を固めながらそろりそろり降りてきた。

この急雪渓のあとは、ところどころに現れる雪の対処のみ。大きな問題もなくだいぶん降りてきたころ、面倒なので履きっぱなしのアイゼンが岩に引っ掛かり、左足をねんざしてしまった。緊張感が緩んでしまっていた。こういったものである。

下るに従い泥道になってきて、靴もどろどろ。さらに悪いことに雨がぱらつきだした。幸いにも空を見ると明るい。念のため、カッパを着てみると汗だくになる。また脱いでしまう羽目に。

登りで気が付いていたが、この山は結構花の種類が多そうである。あまり見たことがないような花が両脇にさいているのを写真にも収めながらぼちぼち降りてきた。

14:41駐車場に帰着。予想通り、広大な駐車場は自分のクルマのみ。

登山客トータル4名のこれまた苦しい6時間半の残雪・苗場登山でした。

今回の感想。やはり登山客の少ない(百名)山は、リスクが大きく簡単ではないという”法則”を再確認した次第である。

7:56小赤沢3合目登山口出発



あたりはブナの木がおい茂り、若葉のシーズン。



4合目。150mほど上がってきた。

雪が現れた。先行者の足跡を手掛かりに進む。踏み抜き跡。注意しないと体力消耗





次第に高度を上げて、周りが見えるようになってきた。



振り返る。ところどころ小さな雪渓があり、横切ったり、登ったりしてきた。





だんだん雪渓の勾配がきつくなってきた。

7合目。1810m。500m上がってきた。

さらに高度を上げてきた。




この下の谷の雪原を登ってきた。



この急な雪渓の直登をしてきた。写真ではわからないが結構な勾配がある。足を滑らせれば、どこまで落ちるかわからない。

最後の雪渓のトラバースを終えるといきなり天国の光景が広がっていた。

8合目(?)の広場。標高2000m越え。。




あたり一面の草原。頂上には、向こうの森を抜ける必要がある。木道はありがたい。すぐに終わるが・・

広大な湿原。森の向こうにさらに広い草原が広がる。

このような木道はあるきやすいが、雪が深く積もった森の通り抜けは大変。

森を抜けると広い湿原

結構広い!

苗場神社前の交差点に到着。まずは左に折れて頂上に向かう。
高低差150mほどと少ないが直線で1kmほどもある。

木道脇には土砂流出防止用の土嚢?が敷設されている。



振り返り北西方向。なだらかな勾配になっている・



正面のこんもりした森の中に頂上がある。かったるい歩みを根気よく継続。



ようやく山小屋が見えてきた。

頂上付近。木道は先に続いているがこれ以上行ってみる気力もない。

頂上付近から東方向





頂上の標柱は木々に囲まれた場所にあった。

11:45山頂。誰もいないのでセルフィーモード

頂上付近からの風景

頂上付近からの風景

頂上付近からの風景

頂上付近からの風景

頂上付近からの風景



苗場神社に参拝。お賽銭は、扉についた貯金箱の投入口みたいな穴から投入




フキノトウがあった。





この登山道は花の種類が多そう。これはショウジョウバカマらしい。(Googleレンズ)



ムラサキヤシオというらしい。ピンクが清楚でやさしい。

小さなイワカガミ。久慈男体山で見たより小ぶりの花。


エンレイソウというらしい。地味な花である。





色が不気味な植物。どうも若葉のようである。






ブナのトンネル



然ながら広大な駐車場は空っぽ。カーブなっており、画面左奥の入り口の方まで続く広大な駐車場。シーズンにはさぞかし多くの登山客を迎えることであろう。


再挑戦、木曽御嶽山(2024.5.18)

 2024.05.17

昨年(2023年5月2日)、中の湯登山口から、御嶽山にチャレンジをしたが、体調不良で8合目の女人堂で屈辱のリタイヤをした。

https://chibira-tamy.blogspot.com/2023/05/820230502.html

今年は、ロープウエーが再開したため、一番楽なコースで再チャレンジとなった。ロープウエー始発が9:00なので、頑張れば、当日朝に茨城の自宅を出発すれば、間に合うが、さすがにそれもできなくなってきたため、近隣の民宿で前泊。

朝8時にロープウエー駅に到着すると先客は、意外にも3台ほど。ロープウエーも開通し、土曜日なので登山客があふれかえっているイメージがあったのだが・・

天気は快晴、気温も朝方からドンドン上昇しており、一部の人は半そで姿。一番最初の乗客となって、登山開始。まずはロープウエーで、1570mの鹿ノ瀬駅から2120mの飯森高原駅に向かう。

下車するとそこはもう別世界で、はるか下の下界を眺めて、森の中の登山道に歩を進める。等高線をなぞるように10分ほど進むと行場山荘。昨年は中の湯登山口からここまで、300mを1時間かけて上がってきたが・・・。

昨年は、行場山荘でアイゼンを装着したが、今年は、その必要がない。しばらく、そのまま進んでゆくが、やがて、ところどころで、雪道が出現するようになってきた。しかしながら、ステップを切ってゆけば進めるような勾配である。女人堂の下の直線的な広い尾根まで上がってくると昨年と同じほどの積雪量。面倒だが、アイゼンを履く。

日差しはきつく、周りに背高の樹木はない。汗だらだらになってきた。風も弱い。呼吸が荒くなってきて、息を入れなければいけなくなる頻度が増してきた。昨年の嫌な思い出が頭を横切る。とりあえず、水分と、エネルギーを頻繁に補給することにする。

あえぐことしばし、やっと、女人堂に到着。(10:37)ここでしばらく休憩。昨年はここであえなくリタイヤ。

女人堂のまわりにはたくさんの仏像、石碑が林立しており、一種異様な雰囲気さえ漂う。ふと見上げると真っ黒な仏像が二体端座しており、ぎょっとする。なぜ黒いのであろうか??火山ガスの影響だろうか・・・

やはり、今日は(もともともとこんなもんかもしれないが)体調、体力がイメージ通りではない。荷物を軽くする戦略を採用することにした。雨具、余分の水、余分の食糧、最低限以外の防寒着をベンチの上に残してゆくことにした。残念ながら、結構重量のあるアイゼンは外せない。それでも気分のせいかだいぶん軽くなった。

ここ女人堂は2470mに位置する。ここから、次のセクションは、覚明堂2900mまで400mほどののぼり。地元の低山では、1時間程度の行程であるが、これが難渋の登りとなり、1時間50分を要してしまった。特に、覚明堂の下では、急な雪渓が待ち構えており、体力を消耗する。登山客が少ない理由は、この雪渓の登りが理由の一つになっていそうである。後続の親子組は、ここで引き返したようである。

ほうほうの体で覚明堂まで登ってきたのであるが、ここから頂上に向かうルートが明確ではない。下山者に聞いてみると、やはり頂上へのルートは閉鎖されているとのこと。しばらく上の方に歩き二ノ池方向に歩を進め頂上の剣が峰を望めるポイントに到着したので、この辺で引き返すことにした。

さすがに3000m峰の頂上のまわり360度は、雪を残す山ばかり!真下に臨む二ノ池はまだ氷が覆っている。北アルプス、中央アルプス、南アルプスなどの大パノラマ。数々の名峰が多数見えているはずであるが、自分が、明確に認識できるのは、乗鞍と木曽駒ケ岳くらいである。いずれもこの時期になっても、多くの雪を残しており、生半可な登山者を拒絶しているように見える。

頂上付近からの眺望をひとしきり楽しんだ後、下山を開始。通常、下りは肉体的に楽で、精神的にも負担が軽いが、さすがに雪渓の下りはいつも緊張する。先行者の足跡をたよりに慎重に行く。やばく感じる箇所が二か所あり、いずれも降りてきたころには、汗だくだくになっている。

しかしながら、積雪の多い緩やかな下りは、想像以上にハイペースに下れる。覚明堂から、駅までちょうど2時間でロープウエー駅に帰着。駅レストランで、乗鞍を眺めながら飲んだ(ノンアルコール)ビールは、五臓六腑にぎゅ~んとしみ込んでいった。

ロープウエーの駅から登りが、4時間、下りが2時間の苦しい苦しい山旅でした。

頂上に立てなかったのが、少し残念で、満足感が100%でない原因かもしれない。


ふもとの開田高原から眺める御嶽山。頂上付近が吹き飛ばされた富士山のような形状を想像してしまう。




朝8時。御岳ロープウエー鹿ノ瀬駅に到着。先客は少ない!!

ロープウエー駅の後ろには御嶽山

緩やかな斜面をロープウエーは登ってゆく。

ロープウエーを降りるとそこはもう高山の雰囲気


いよいよ登山開始。まずはよく整備された道を等高線に沿って歩く。

すぐに行場山荘に到着。昨年5月2日は積雪が深かったが・・

ところどころ雪が残る道を歩く

雪が深くなってきた。アイゼンをつける。二人連れが追い越していった。

樹高のある木々もなくなり、眺望がよくなる。

8合目女人堂に到着。昨年はここでリタイヤ。
今日は、快晴で風もない。

女人堂周りには、石碑が並ぶ。後方のピークが、次の目的地の覚明堂。標高差が400m以上ある。

女人堂すぐ上の雪渓を斜めに登る。そんなに危険を感じないレベル。



東にそびえる中央アルプス。





途中には、石像が並ぶエリアがある。

すぐそこの石室山荘はなかなか近づかない。
鐘があり、苦しい憂さを晴らすように思い切り鳴らす。

お地蔵様が登山客の安全を見守る。

だいぶん高度を上げてきた。北側の峰は摩利支天、その向こうは乗鞍。



うんざりするような胸突き八丁の雪渓を直登する。

登ってきた雪渓を見下ろす。露出した尾根道(画面中心右)に米粒のような登山者が見える。そこから雪渓を直登してきた。



女人堂ははるか下に見えるところまで来た。






雪渓には踏み跡があるが、ルートがよくわからない。

覚明堂の直下まで来た。最後の登りが苦しい。



真下に石室山荘

急斜面に立つ覚明堂。

覚明堂前の仏像。



頂上エリア

摩利支天と四ノ池。奥は乗鞍岳









これが剣が峰のようである。立ち入り禁止になっているが、足跡が残されている。



二ノ池と、湖畔に佇む山小屋。

火口を囲む稜線

摩利支天の背後には、乗鞍岳。乗鞍の方が登りやすい。


東を向いたお地蔵さんは何を想う?



このお地蔵さんたちは北を向き端座。

このお地蔵さんたちは東を向く。



高森高原駅の鏡に向かって自分を撮影。背景は乗鞍。


鹿ノ瀬駅に帰着。クルマが朝より増えているが、ほとんどが登山をしない観光客。