2023.8.5
年齢とともに、北アルプスはつらくなってきた。
それでも気力を搾って、昔の仕事仲間を誘って燕岳に挑戦。燕山荘直下の、直射日光はものすごくつらかったが、得られたご褒美は絶景。これだから、いつまでも苦しい山登りをやっているかもしれない。
北アルプスは茨城県からは、400kmもあり、最近はさすがにきつく前泊することが多い。
今回は、松川村にある馬羅尾高原キャンプ場にテントを張ることにした。正直、ネットのコメントを見るとあまりよくないものもあったが、心配をよそに、快適なキャンプ場であった。高い木々に囲まれたキャンプスペースは、気持ちの良い空気が流れる。よく清掃された水洗トイレがあり、近くには谷川が流れる。驚くことに虫はほとんどいない。さらに料金は一人200円を協力金として払うだけ!
当日は、混雑を予想して、中房温泉の登山口駐車場まで、なるべく早くたどり着こうと5時にキャンプ場を出発。
しかしとんでもなく甘い見通しであることがすぐに発覚する。
なんと中房温泉に至る県道の入り口付近にある有明神社の前で止められてしまった。
聞くと、登山口の駐車場は、夜の1時には満杯になり、登山客車両の通行規制が始まっているとのこと。登りたければ、タクシーかバスで行けと指示される。登山にはいつも想定外が発生するのであるが、今回も早速発生。
誘導された神社の駐車場は朝5時過ぎだというのに、すでに20~30台の車。先行きが思いやられる。
タクシーが何台か待っている。4人乗り合いで、一人1500円だという。それならバスの方が安いのではないかとバス停に行くと一人1500円だそうである。今まで、何回も見たパターンである。
話し合ってタクシーで行くことにした。おびただしい数の急カーブをどんどん上がってゆく。車酔いでもするのではないかと心配になり始めたころやっと中房温泉に到着。
またもや驚いたことには、登山口には、これまたおびただしい数の登山者。トイレも長蛇の列。
川の流れのように、老若男女がトイレ脇の登山道に吸い込まれてゆく。
われわれも、その流れに、加わる。登山道は、とてつもなく急な斜面に付けられたジグザク道。5月に登った恵那山を思い出す。
朝でまだ涼しい気温であるが、何しろ湿度が高い。老人のひたいからは汗が滝のように流れ始める。なんだか想定と違う。高度を上げてくると、谷向うの稜線から陽の光が差してきた。幸いなことに、まだ樹林帯である。それでも時々背中に当たる日光が、とげに刺されたように痛い。
何処までも急坂が続く。聞けば北アルプスの3大急登のひとつらしい。時たま、若者グループに道を譲る。不思議なことに、外国人がほとんどいない。北アルプスとしては珍しい気がする。
第一ベンチ、第二ベンチ、第三ベンチに、到着、よろよろと座る。ベンチは多くの登山客で占められている。水分補給。健脚の同行者はそのたびに待機。
3時間かけて、合戦小屋に到着。漸く1000mほど登ったことになる。ここにもとんでもない数の登山客がごった返している。名物のスイカが飛ぶように売れている。自分も注文。500円。たっぷり塩を振りかける。おいしい。スイカがこんなにおいしいと感じたのは久しぶりである。この小屋の、自前の荷物用のリフトはフル稼働。下から重いスイカでも大量に上げているのであろう。
エネルギー補給をしようと、荷物を改めると、ショックなことにいつも持ち歩くEnergy Gelがない!! これはまたまたリタイヤかとあきらめかけた時に、塩タブレットを同行者からいただいた。これで助かった。
合戦小屋は2400mに位置する。これから2700mの燕山荘まで、元気であればひと上りであるが、これがまた大変な試練であった。
日傘になる樹木が切れ、しかも尾根の風下側をしこしこ登って行くのである。案の定途中で、熱中症と思われる人が登山道をふさいで渋滞。
横目で見ながらあえぐことさらに1.5時間、もうだめかと思い始めたころ突然目の前が開けた。燕山荘前の鞍部に到着。
谷の向う側は雲一つなく晴れ渡り絶景が目前に展開されている。
おととし登った水晶岳、鷲羽岳が見える。もう大分前に登った槍が見える。おおッーという感じでなかなか感動的。しかも稜線では涼しい風が吹いているのがうれしい。
ここまで来たら山頂はもう少し。ざくざくとした花崗岩の砂の道を踏みしめて、燕岳山頂到着。例によって、写真渋滞。見知らぬ登山客同士がわいわいといいながら写真を撮り合う。皆,一様にハイである。
おなかもずいぶんすいたので、頂上直下の昼食会。
しばらくの休憩ののち、ゆるゆると下山することにした。
下山中もおびただしい登山客と行き違う。多くの人は山小屋、テント泊。
やがて、ぱったりと人が途絶える。急に静かになった道を、よくぞ登れたものだといつもの感想を抱きながら長い道を下りた。
大変苦しかったが、本当にご褒美も大きかった。
たぶん二度と、来ることはないだろうが、印象深い山であった。深田久弥さんの100名山の一つを外して、この山をいれても恥じないだけの魅力を持っている。自分の頭の中には、外す候補が3,4つある。
ニュースによると燕岳でも遭難者が出たらしい。軽いけがをした人もいるが重傷者もいるという。コース的に危ないところはないが、やはり暑さによる疲れが原因ではないかと思う。そういえば、ツアーのガイドさんが、荷物を一個余分に抱えて、登山客をエスコートする様子を3例見かけた。いずれも年配の方であった。自分も気を付けないといけない。
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中房温泉登山口。おびただしい数の登山者。 |
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第一ベンチ。しばらく背の高い樹林帯の下道を歩く。ただし道は険しい。 |
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第三ベンチ。暑い。この辺でもう疲労困憊。 |
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同行者は余裕の表情 |
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合戦小屋まであと10分。漸く道が緩やかになってきた。 |
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合戦小屋到着。ここも満員御礼状態。スイカの旗が目立つ。登り始めて2:50。 |
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広場の向こうにはリフトがフル稼働中。 |
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スイカ500円。食べる前に写真を撮るのを忘れてしまった・・ |
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向うのピークが燕山荘。やっと見えてきた。それにしても暑すぎる。 |
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槍が見えてきた。感動的。 |
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このような場所では渋滞が発生。それにしても暑い。 |
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稜線に出てきた。思わず笑みがこぼれる。登り始めて4:20。 |
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向うには鷲羽、三俣、黒部五郎、水晶岳などが並ぶ。 |
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尾根の風下側は、雲がわく。 |
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同行者も満足げで胸をなで下す。 |
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槍からつながる峰々 |
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これはイワギキョウというらしい。終わりかけで残念 |
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燕山荘から1㎞先に燕岳頂上。道は険しくない。 |
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花崗岩の奇岩が次々と出迎えてくれる。 |
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この向うは野口五郎か? |
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高山植物の女王、コマクサ。ほかの植物が避ける厳しい環境で咲く。岩手山にも山頂付近のガレ場に大群落があったのを思い出す。 |
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振り返ると続々と登山客が続く。多くの人は荷物を燕山荘に置いてくる。 |
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見えました燕岳山頂。 |
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頂上直下の縦走路分岐 |
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いよいよ迫ってきた頂上 |
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槍ヶ岳は存在感抜群 |
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登山客で混雑する頂上広場。 |
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到着しました燕岳山頂。三角点標石。登り始めて5時間。 |
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槍ヶ岳の間には深い谷が存在する。 |
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お賽銭らしきものがあるが、祠はない。 |
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みんなで記念撮影。苦労した甲斐があったね。 |
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よく見ると、道端には可憐な花々が咲いている。 |
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白い可憐な花。名前は知らない。 |
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名前は忘れてしまった・・・ |
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眼鏡岩。登頂禁止だが足跡が・・・ |
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下山の足取りは軽い |
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花崗岩塊を縫うように進む。 |
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振り返る燕ピーク |
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コオニユリというらしい |
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これはイルカ岩 |
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立派な燕山荘下の鞍部から下山開始。登り始めて6時間。 |
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有名なトリカブト。高山ではよく見かける。 |
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道端の可憐な花。名前を忘れてしまった。 |
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合戦小屋まで降りてきた。登り始めて6時間50分。 |
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中房登山口まで降りてきた。足は棒状態。登り始めて丁度9時間。 |
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