2020年7月17日金曜日

大雨の飯豊山詣(2105m)。大日杉から登る。(2020年7月14日)

2020.7.14~15
大日杉小屋をベースに、大雨の中、飯豊山(2105m)にトライした。
結果的には切合小屋でリタイヤをした。
事前の計画の甘さを反省ひとしきりである。

飯豊山は、標高はそれほど高くないが、どの登山口からも距離があり、簡単に登れる山ではないと事前調査で分かっていた。
登山の困難さはもちろん自分の体力との相対関係で決まる。
過去の経験と、登高のプロファイルからいつも判断しているが、間違ってしまった。
特に、大雨の中、地蔵岳から切合小屋までの行程に想定以上のエネルギーを消費してしまった。

大日杉小屋は飯豊町が運営管理する有人の山小屋であるが、今年は、自粛的な運営をしているので無人になっている。
このため、シーズン中使える電気、衛星電話が使えない。
小屋は、すごくきれいで、清潔である。
何より、湿気が少なくてよい。
一泊1500円になっている。
他に客がおらず、2階の食堂スペース、3階の就寝スペースとも使い放題である。

ただし、最近人が利用したことがないようで、そこらかしこにゴキブリとカメムシの死骸が転がっている。箒で死骸を片付けたら、あとは我が家と同じ感覚。

冬であれば間違いなく薪ストーブを使わしていただいているところである。

小屋の周りは、川の流れがごうごうと音を立てている。
ラジオを持参したが、電波が弱くてほとんど聞こえない。
聞こえてもフェーディングで強弱が激しい。

しばらく気になり眠れなかったが、例のごとくいつの間にか眠り込んでいた。

朝4時起床。簡単な朝ごはんを済まして、5時出発。

霧雨が降っている。
とりあえずカッパを取り出して、歩き始める。

大きな杉の林は、すぐに終わり、ブナが主役の森になる。
途端に道が急になる。
体温が急速に上がり始める。
気温が高くないが、湿度が100%。
ゴアテックスのカッパの中が蒸れだした。

上を脱ぎ去り、傘を取り出す。
大分快適である。

しかし、まずいことにところが登るに従い、雨脚が増してきた。
しかも風が出てきた。
幸いなことに、木々が風を防いでくれる。

30mほどはあろうかと思われる鎖場が現れた。
岩には足場が切ってあり、傘を持ちながらも簡単にクリアできる。

大きな杉の木を通過。この辺が1000mである。400m登ってきたことにある。
汗が噴き出る。あと1000m以上、登ることを考えると憂鬱になる。

行けども行けども同じような雰囲気の急坂が続く。
傘が灌木に引っかかるようになってきたので傘をしまい合羽を着る。

やっと、道が少し緩やかになってきた。1400mのだまし地蔵を通過。
さらに100m登りやっと、地蔵岳到着。
周りがガスで何も見えない!

飯豊山の登山道の良い点がある。
それは、雨が降っても滑らない土壌であること。
滑ると想像以上に体力を消耗する。

今年登った九州の山々は、濡れているとちょっとした坂でも滑る。
特に祖母山は、大変であった。

地蔵岳からは尾根歩きで楽になると思いきや、さらなる試練が数々待ち構えている。

いきなり、せっかく稼いだ高度を100mも下ってしまう。
登り返すとまた下る。
結局次の分岐まで、2時間、登って下っての繰り返しで、苦労の割にはほとんど標高は変わらない。

周りの風景も全く見えずに不安な歩みを続ける。
しかしながら、ところどころ色鮮やかな花々が気を和ませてくれる。

やっと御沢わかれに到着。迷わず右に進むと道がぼうぼうになり、沢に降りるしかなくなった。地図には8月までとは書いてあったが、わたるべき雪渓はすでに消えてなくなっている。上流を見上げると雪渓の端が見えている。

あきらめて分岐に戻る。20分のロス。

しばらく登ると小さな雪渓に出くわす。
10mほど渡ればよいが、昨年の滑落の記憶が頭を横切り、念のためアイゼンを履く。

クリアして安心していると、霧の向こうに白い壁が現れた。
ずいぶん遠くの山の斜面と思っていたが、気が付くとすぐ目の前の雪渓であった。
前より大分大きい。
悪いことに、対岸が霧で全く見えず、進む方向がわからない。
降りしきる雨のため、踏み跡も完全に消えている。
これは困ったとGPSの地図を確認すると、雪渓の上部を三国岳からのルートが見える。
草の生えた斜面を登り、雪渓を巻くことにより無事クリア。

条件の良い気象条件であっても、GPS(地図付き)を持参することをお勧めする。
スマホでもよいがバッテリが心配。
Garminの60CSxという製品をもう10年以上使っているが、単三電池二本で約二日働く。
以前、山道で出会った登山者から、道がある山ならいらないと馬鹿にされたが、今まで何度となく助けられた。
目的地までの距離方向がわかるだけでも大変心強い。

雪渓を巻き、もう着くころだと、GPSを見ながら霧深い道をのろのろ行くと、灌木の茂みの角を曲がった瞬間に、切合小屋が突如現れた。
いつも思うが、荒天時に山小屋到着の安堵感、思わずテンションが高くなり、管理人の人としゃべりまくっていた。

さすがに山小屋のお客は一人だけ、二階を占有させていただいた。

屋根が近いので雨の強弱が手に取るようにわかる。
結局明け方まで、強弱をつけながらも雨は止むことがなかった。

朝、雨の合間に本山が見えたが、残された体力を考慮して、下山をする決意をした。

小屋の近くの小さなピークに来るとなんと雨が上がって、飯豊本山から大日岳までホルスタインのような山容がくっきりみえるのではないか!

飯豊の神様が、あわれな登山者に一時のプレゼントをくれたように思えた。

それも一瞬で、また霧が深くなり、雨も下山道中ず~っと続いていた。
しかし、道を知っているということは心強く、登りよりはるかに近く感じた。

ベースの大日杉小屋。3階建てで新しい。

食堂。床にゴキブリの死骸が落ちている以外はきれい。

薪ストーブがある。
自由に使っていいそうであるが、
残念ながらクーラーが欲しい気候。

3階の就寝スペース。

朝5時。見上げる山並みはガスの中・・・

大雨の中、切合小屋に到着。2階の就寝場所。
風雨をしのげるだけでもホッとする。

晩御飯のカレーライス。お代わり自由だがさすがにいっぱいでおなか一杯。


朝の小屋から本山方面。昨日に比べて見通しがある。
本山まで小屋から往復4時間かかる。


小屋の横の高台に上がるとなんと大日岳までが見えた。

本山方面。一瞬、晴れそうな勢いだったが・・

左のピークが飯豊最高峰の大日岳。
ホルスタインみたいな雪渓が実に飯豊らしい。

雲海。下界は雨模様。





正面のピークが帰る方向にある地蔵岳らしい。
ずいぶんと遠い。

昨日左から高巻をした雪渓。昨日、霧の中で見た時は巨大に感じたがこうしてみると小さい。
下山時は右から左に行くが、雪渓左端の下が空洞になっているので少し高巻くように行けと山小屋のご主人の助言があった。

わたり終わった雪渓。昨日は向こう岸が全く見えず高巻。
雨で踏み後なし。

小さい方の雪渓を振り返る。

近くの小川でアイゼンを洗って収納。

密度は少ないがニッコウキスゲが点在。

御坪の小さな祠。お賽銭が散らばっていたので集めた。

目洗清水。道から外れて少し降りる必要がある。



今回印象深かったヒメさゆり。
ピンクの色が何とも言えない。
中を覗いてみると、虫が雨の中休憩していたようで2~3匹慌てて飛び出してきた。



地蔵岳で小休憩。相変わらず視界は悪い

御田の大杉。背は高くないが、直径2mくらいありそうな巨木。
周りには杉はなく、何百年も孤独に耐えて生きてきた趣。

下の方は鬱蒼としたブナの林が続く。





梅雨の合間の西吾妻山(2035m)天元台ロープウエーで登る。(2020年7月13日)

2020.07.13

新型コロナによる移動自粛が解けて、初めての県外移動。
場所は、山形県の米沢市の南端にある西吾妻山。
標高は、2035m。
今回は、3月の九州登山以来の本格的な山登りで、体力にいささか自信がない。
ロープウエーとリフトを最大限活用することとなった。

朝8時前に天元台ロープウエーの駐車場に到着するとすでに2台の先客がいる。
始発は8:20であるが、8時前に従業員を乗せた便が出発する。
たくさん乗っている。
スキー場は、夏でも開いており、もっぱら登山客や、陸上などの練習客相手にサービスを行っている。

8:20分の始発に乗車。あいにく雨模様。それでも登山客は10人ほど。
結構急な勾配を登ってゆくと、10分もしないうちに上の駅に到着。

平原になっており、レストランや、ペンション村、陸上のグラウンドなどの設備が点在しているが、あいにく雨模様+ガスであたりは全く様子がうかがうことができない。

看板に従って、リフトを乗り継ぐ。結構長くロープウエーを含めて40分ほどかけてリフトの最高地点に到着。
標高はすでに1800mを超える。

リフトを下りるとすぐに登山道が始まる。
岩がゴロゴロした道で結構歩きにくい。
100mほど登ると道は緩やかになり木道を中心になり、展望も開けてくる。

ラッキーなことに雨が上がって薄日もさしてきた。
途端に蒸し暑くなり、カッパを脱ぎ捨て半そで姿になる。

まだ湿度が高いが、風はそれなりに冷たく気持ちがいい。

少し下がり、岩だらけの道を上り詰め、梵天岩を通過する。
岩の広場の向こうに神社の祠が見える。

吾妻神社である。
とりあえずお賽銭をあげて、お参りを済ませる。
ラミネートパックされた”吾妻神社参拝登山の證”が提供されているので一枚いただいて帰ってきた。それには昭和7年に書かれた本神社の絵が描かれている。

そこから、西吾妻避難小屋まではすぐの距離である。
中を覗いてみたが、あんまり快適そうではない。

頂上に向かう。
頂上の標識は、灌木に囲まれた小さな広場にあった。
平ヶ岳の頂上を思い出した。

天気はそれなりによくなり、一部で青空も覗いてきた。

高層湿原の木道を快適に歩み、下山してきた。

特に下りのリフトからは、米沢の市街を正面眼下に望め、爽快感はひとしおである。

西吾妻山は、頂上がひらべったい東北らしい優しい山であった。

ロープウエーを下りるとガスで視界が乏しい。
とりあえずリフトに急ぐ。

ガスの中、スロープを登る。
先行二人組は、最先頭の登山客。

リフト終点から少し登ると木道になる。

薄ピンクのシャクナゲが目に優しく映る。

道はいったん下り、次のピークが梵天岩、天狗岩。

木道のあることろは歩きやすい。

チングルマの群生に出会う。
競うように咲き誇っている。

チングルマ。バラ科とのことである。そういえば、おしべがまさにばらの雰囲気である。

吾妻神社。

吾妻神社から少し降りると西吾妻避難小屋。

地味な花だと思っていたが、WIKIPEDIAによるとなんとチングルマの実だそうである。

人形岩。人形には見えない・・・

リフトまで帰ってきた。登山道はこのような感じで始まる。

リフトは、米沢市街に向けて降りる。

天元台高原には、ペンション村や、グラウンドがある。



ロープウエーは結構急である。





小野川温泉の滝の湯で汗を流す。250円。
5~6人入れば満員の小さな温泉。
真ん前に駐車スペースがあるが、道路の反対側にも組合の無料駐車場がある。
駐車場の場所を地元の人に聞いたら、話す時にはマスクをしろとマスクなしで叱られた。